松樹山、西善寺。大阪府大阪市福島区、真宗興正派のお寺です。

〒553-0003 大阪市福島区福島3-4-4
TEL 06-6451-7966 / FAX 06-6458-9959

今月の法話

2022年8月の法話

[8月の法語]

我が身を深く悲しむ心に 仏法のことばが響く

The words of the Buddha's teaching resonate in the mind of those persons who deeply lament over themselves.

宮城 顗(みやぎしずか)

[法話]

 私たちは、無意識に自分を飾(かざり)りながら生きています。人に良く見られたいという心のはたらきです。

同行(どうぎょう)のまへにてはよろこぶものなり、これ名聞(みょうもん=名声を求めて世間体をつくろうこと)なり。信(しん)のうへは一人居てよろこぶ法なり。
(『蓮如上人御一代記聞書』『註釈版聖典』1280頁)

 言葉を補(おぎな)って、わかりやすく解釈してみましょう。
私たちは、心からよろこびを感じていなくても、同行(=心を同じくしてともに仏道を修める人々。真宗ではその信者をいう)の前ではよろこんでいるようなふりをします。そこには、名誉心、人から良く見られたいという思いがありませんか。一人でいる時、その人の信心の姿が明らかになります。他力というのは、一人でよろこぶ教えなのです。

 何の本か忘れましたが、緊迫した戦場で、部下が上官の部屋を訪ねる場面がありました。上官は机に向かって、夢中で虫と遊んでいます。部下が入ってきたのに気づくと、「何だつまらない」という素振りで虫を振り払います。とてもリアルな場面で、印象に残っていました。おそらくソルジェニチン(1918~2008 旧ソビエト連邦の作家、劇作家、歴史家。1970年、ノーベル文学賞受賞。1974年にソ連を追放、ソ連崩壊後の1994年に帰国)だったと思います。

 人は誰にも見られていないと、安心します。そして本当の姿が現れます。緊張を強(し)いられる戦場。上官という立場。そこで彼は、自分の役割を演じなければなりません。けれど外に見えているのが、彼のすべてではなかったのです。

 もし心の中を見られる眼鏡があったら、私たちは一日も生きていけないでしょう。何より私が、私の心を知っているからです。むさぼり、いかり、おろかさ、これらのはたらきが絡(から)み合って、さまざまな情感が起こりますが、その中でもっとも醜(みにく)いものの一つが、妬(ねた)みだと思います。私たちは決して、人の成功をよろこぶことができないのです。

 お勤めもする、お聴聞もする、勉強もする。家に帰って一人になった時、お念仏が出てくるかどうか。自分が一番よくわかります。「構えていない時のお念仏。それが本当のお念仏ですよ」と蓮如上人は言われるのです。法然聖人にも、同様の教化は多くあります。

 むさぼり。いかり。おろかさ。本当にそんな自分であったと気づくほど、つらいことはありません。その時、「そのようなあなたがめあてだったのです」と、本願のことばが響き渡るのです。

山本 攝叡(やまもと せつえい)

浄土真宗本願寺派布教使、行信教校講師、大阪市定専坊住職

本願寺出版社(本願寺派)発行『心に響くことば』より転載

◎ホームページ用に体裁を変更しております。
◎本文の著作権は作者本人に属しております。

◎先月は安倍元首相の銃撃事件があり大変驚くとともに日本が世界でも治安のよい国であるともはや言えなくなったと痛感しました。
 また新型コロナウイルスの感染拡大が第7波に入り、連日感染者数が増加しています。大阪府新型コロナ警戒信号(大阪モデル)は赤色となり感染防止対策の徹底等が勧められています。ただし熱中症防止の観点から、屋外でマスクの必要のない場面(2メートル以上の距離を確保できる。会話をほとんど行わない)では、マスクを外すことを推奨しますとのことです。  コロナ渦に振り回されて3度目のお盆を迎えます。何卒心安らかにお迎え下さいますよう、またご自愛下さいますようお念じ申し上げます。

合掌